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彼はすきと言わない。言ってくれない。 わたしがどんなにすきって言っても、すきって言ってほしいって言っても、言ってくれない。 てれているわけでもなく、ただゆっくり笑うだけ。 やっぱり家柄がいいとそんなにべたべたいちゃいちゃしないんですねー。 品が良いんですねえ、このお金持ち!って、仕方ないからいやみを言う。 そうしたら今度は、ぶはっとはきだすように笑って、わたしの頭を優しくなでる。 それが嬉しいから、わたしはまたいやみを言う。 どうして言ってくれないんだろう。 やっぱり、わたしの家柄がそんなによくないからかな。 あなたは気にしないっていうし、ご両親も気にしないっていってくれている。 けどやっぱり、心の中でなにかがあるのだろうか。 でも、そんなにすぐ家柄がよくなるわけじゃない。お金持ちにもすぐにはなれない。 気分だけ品よくなるために、茶道や華道でもやってみようか。 そう言うと、あなたは少しおどろいたように目を丸めて、笑いをこらえながらわたしを包み込む。 何よ。すきって言ってくれないくせに。 どさくさにまぎれてすきかどうかきいてみても、あなたはまた笑うだけだった。 彼女はよくすきと言う。すきって言ってほしいと言う。 でも、私は言わない。すきじゃないわけじゃない。てれているわけでもない。 いつもそれをきくと、私はゆっくり笑う。 いい加減すると、品が良いんですねえ、このお金持ち!と君がいやみを言う。 悪口にならない悪口に、ついついぶはっとはきだすように笑ってしまう。 それから頭をなでると、むすっとしたようにうつむく。 けど数日後にはまた、いやみを言いだすのだ。 そんなに言ってほしいのだろうか。 ある日いきなり、「茶道や華道でもやってみようか。」と言い出した。 君の中ではあれこれ順序立てて出した結果だろうけど、それだけ言われたらよくわからないよ。 真剣な目をしているから笑えるわけもなく、ただ君を引き寄せる。 ちがうよ。君のことはすきだよ。 どさくさにまぎれてすきかどうかきかれ、私はまた笑った。 ちがうよ。ちがうんだよ。 ただ、 頼むから黙って、ただ愛させてくれ。 (つまりはバカップル) |